【十人桐色】#05 keyword『熱中』

 

本日より対談記事の投稿がスタート。初回投稿を担当させていただきます、A班メンバー、中司(体育3)、鈴木(体育2)、真鍋(体育1)です。

今回私たちがキーワードにしたのは「熱中」です。筑波大学陸上競技部は、一人暮らしや自立した選手を目指す背景から、自分と向き合っている選手が多い印象があります。

このキーワードから、ピックアップした選手の競技との向き合い方について知っていただけたら嬉しいです。

また、「競技部に求めること」についても話し合いました。様々な視点からの意見をいただき濃い内容になっておりますのでぜひ最後までお読みください。

 

◇今回のピックアップ選手◇

奥田大樹(体育3)

荒川大暉(体育2)

橋本梨沙(体育2)

山下桐子(体育2)

高橋秀徳(体育1)

選手の詳しいプロフィールは対談記事とともに掲載。

以下、対談の様子をご紹介します。

橋本梨沙(はしもとりさ)

体育専門学群2年/跳躍・三段跳/千葉・幕張総合高校

【個人ページ】

 

山下桐子(やましたとうこ)

体育専門学群2年/跳躍・三段跳/福島・橘高校

【個人ページ】

 

ーまずはモチベーションの保ち方について、、部活に熱中できない時期はあった?

山下)試合に向けて何をすればいいのかって考えると、競技が嫌になることはないですね。記録を見て落ち込むことはあるけど、だから練習をしないかって言われたらそれは違うなって。。

橋本)陸上が嫌いにはならないよね。

 

大学に入ると記録が出ない時期があるって言われてるけど、その時期はあった?

山下)いつ来るんだろって思っていました。伸び悩んだ時期は、これか!って思いましたね。同じタイミングできたよね?(橋本へ)

橋本)高校時代も1年生は惰性、2年生はどん底、(3年生はインターハイで優勝している)でした。だから、あ、また来たなって思いましたね。

でも、その時は自分に陸上しかなかったんです。陸上ができないと全部だめ。なんで生きてるんだろうってくらい。(笑)でも今は学校も楽しいし、陸上以外のこともあるから、そこまでモチベーションが下がることはないです。

 

陸上以外が必要だと何がきっかけで気づけたの?

橋本)大学に来て、周りの選手がうまく気分転換しているのを見て、遊んでいいんだって思えました。自分を縛り付けなくていいんだなって気づいたんです。

山下)今の話を聞いてると相当過酷だったんだなって思うよ。ようやってきたなって。自分は今まで何にも縛られずやってきたと思います。大学に来てやっと考え始めました。

 

ー高校時代と大学生になって、陸上への熱中の仕方も変わった?

橋本)結果を求められないことがすごい楽だなって思っていて、木越先生も「まだ2年もある」って言ってくださって。

陸上のこと以外考えてたからいけなかったのかなって悩んだこともあったけど、茜さん(若園茜・M2)にそれとはまた別だよって励ましていただきました。

山下)陸上だけになるとからっぽな人間になりそうって思います。逆にその方が怖い。今まで自由に競技を続けてきた感覚があって、競技に対する取り組み方は同じスタンスでできている気がします。

大学1年の時はなにも考えず記録が出てしまって、そのままいったら2年生で記録が出なくて。でも、そういう時期もあるのかなって思ってたから意外に平気です。何が起こるかわからないけど、そこはやりながら!(笑)

 

ー上手く熱中するために後輩にアドバイスするなら?

橋本)陸上のことを考えすぎない!陸上ノートを家で書くのやめたら?ってアドバイスをもらって、それからだいぶ楽になりました。陸上は競技場で!(笑)

山下)競技場の中でひとまず終わらせるの大切だよね。家で考えてるから競技力上がるかって言われたらそんな研究結果もないしね。

橋本)周りは(周りの人から自分に対して)思ってるより結果を求めてないよって伝えたいです。

山下)記録に出てきてから、また考えればいいよね!それまでのらりくらりと自分のペースで!

 

ーーー

今回明るい表情で話してくれた2人ですが、きっと大学2年間で葛藤や悩んだ時期もあったと思います。

橋本は、環境が変わった中でも過去の自分にとらわれず、今の自分に必要なことを考えることができる選手。山下は、明確な目標と計画性があって、ぶれない軸がある選手だと私の中で感じました。

応援したくなる選手です。また、筑波大学は先輩の支えが大きいということも改めて感じます。経験と共に、ゆっくり着実に力をつけていく彼女たちに今後も期待が高まります!

荒川大暉(あらかわひろき)

体育専門学群2年/短距離障害/富山・富山高校

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鈴木)今回荒川を推薦した理由は、トレーナー委員会でいつも頑張っているのを見てきたからなんだよね。俺もトレーナー委員だけど、同期の中でも特に熱心にやってるな~と思って。そんな荒川のことをもっと知ってみたくて推薦しました(笑)今日は色々聞いてみたいと思います。

荒川)なんかこういうの緊張するし、恥ずかしいな(笑) よろしく!

鈴木)じゃあ早速だけど、あれだけ熱心にトレーナー活動してるのは、将来のことを考えてるから?

荒川)いきなり将来の話か!(笑)まあでも、そうだね。将来幅広くトレーナーとして 活躍したいなーと思ってる。中学3年くらいから興味があって、高校で怪我したときに、診 てもらったトレーナーさんに憧れたんだよね。

鈴木)そーなんだ!筑波の体育専門学群を選んだのもそれが理由?

荒川)それもあるね。AT(アスレティック・トレーナー)になるためには院まで学修する必要があるし、体育の最高峰で、学群生の時からしっかり学ぶとしたらここかなって。

鈴木)なるほどね~。でもさ、トレーナーの勉強だったら、競技部に入らなくてもできるじゃん?なんで競技部に入って、競技をしながらなの?

荒川)んー、俺もよくわかんね(笑)まあ、選手としての経験は将来トレーナーになってから役に立つと思うし、競技をす ることのメリットは大きいと思う。単純にスポーツは好きだしね(笑)

鈴木)確かに俺も走るのが好きだから、ここまで競技してきたんだよな(笑) 競技をしながらトレーナーを出来るのは一番の強みだよね。 じゃあ最後に、これからどんなことをしていきたいか、教えてください!

荒川)海外のトレーナーの仕事に興味があって、留学したいなとも考えてる。そのためにも今は資格が欲しいな。資格があれば自分の力の証明にも、レベルアップにも、みんな のサポートにも繋がると思うし。だから将来のためにも、自分のためにも頑張りたい!

奥田大樹(おくだだいき)

体育専門学群3年/投擲・やり投/京都・宮津高校

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高橋秀徳(たかはしひでのり)

体育専門学群1年/投擲・やり投/滋賀・彦根東高校

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真鍋)冬期も本格化してきましたが、今一番力を入れていることはなんですか?

奥田)ウエイトトレーニングかな。

真鍋)ウエイトだけが目標になるとモチベーションの維持が難しくなると思うのですが…?

奥田)(やり投で)記録に対するウエイト数値の基準が示されていて、そこを目指すということがモチベーション。あとは、純粋にこの時期にやりを投げるのは体に負荷が高すぎる。少なくともパワーが上がって、それを(やり投に)繋げられたら記録にも表れるのかなって思う。

真鍋)やりを投げなかったら感覚鈍らないですか?

奥田)僕は高校の時、地元が雪国で1月から3月初旬まではやりを投げられなかったから慣れてるかな。(笑) だからその期間は、メディシンとかを投げて過ごしてた。

高橋)僕も筋トレです。技術は上達するまで時間がかかるし、先が見えないけどウエイトは頑張った分だけ数値が上がりやすいから。そこで数値が出せた喜びでモチベーションをあげています。

真鍋)ウエイト以外に技術に繋がる練習はしてる?

高橋)例えば、メディシン投とかジャンプとか、やり投に相関が高い種目とか筋肉を上手く動かす練習を先輩から教わって最近取り入れてる。でも、1年のうちはパワーをつけることが大事かなとも思うかな。

 

真鍋)この時期は強度の高い練習が続くと思いますが、オフはどんなことでリフレッシュしていますか?

奥田)僕はオンオフが激しい。(笑) 練習するときはしっかり集中するようにしているけど、練習が終わったら完全に陸上のことを考えないようにしてる。NBA鑑賞だったり、ゲームとか。頭を完全に切り換えてる。NBAは、(地元で)近所のお兄ちゃんが結構すごい選手で。そのお兄ちゃんの影響で今でも見てる感じ。

高橋)僕も奥田さんみたいにオンオフははっきりしたいと思っているんですけど、これといってオフの日に熱中しているものがないんですよね…。(笑)

奥田)同期とかで集まったりせぇへんの?

高橋)あ、何人かで集まって恋愛サバイバルのドラマ鑑賞しますよ。結構面白いんですよ!第三者で見れるから。(笑)

一同)笑笑笑笑 それは趣味やわ!

 

真鍋)ここまで色々聞いてきましたが、お二人が筑波大学で陸上を続けようと思ったきっかけはなんですか?

奥田)高校時代、池川(池川博史・体育3)に負けたから。僕はインターハイ優勝するつもりでいたけど、そこで負けてしまって。やっぱり中途半端やなというか…でも多分続ければ70mは投げれる自信はあったから、どこかの大学で続けようと…。

真鍋)大学に入って70m投げた時、その後の気持ちは変化しませんでしたか?

奥田)初めて70m投げたのが2年の全カレ選手選考会。その時はなんで投げれたのか分からなかった。正直言うとまぐれの70mで決めたインカレに出たくなかった。僕より4年の先輩が出た方が点を取れると思ったし、出ても得点できないなって。

その時は投げれた喜びの方が大きかったけど、その後もう一回70m投げろって言われたら無理な気しかせんなって…。インカレの雰囲気で合えばもしかしたらっていう淡い気持ちで試合を迎えて、玉砕した。

真鍋)そこから1年置いてブロック長という立場になったわけですが、最後の年、インカレで70mを投げて得点する自信はありますか?

奥田)前は70m投げて次の目標が見つからない状態だったけど、今は投げれると思うし、モチベーションは高い状態でいる。5月の関カレで良い投げが出来れば「全カレで得点できる」ってことへの大きな自信になるんじゃないかな。

真鍋)高橋は1年浪人してると思うんだけど、浪人してまで陸上を続けようと思った理由は?

高橋)きっかけの一つとしては、小山さん(小山水晶・生物3)の存在が大きかったと思う。高校が一緒で僕が高校1年生の時に小山さんは3年生でインターハイに出場したり、注目を浴びてて。そんな小山さんを見て、僕もそうなりたいなと思った。僕は結局インターハイには出ることはできなかったんだけど…。

小山さんもわざわざ浪人してでも筑波に入りたいって言ってたから、筑波ってそんなに良いのか…って。今も変わらずやっぱり目標は小山さんで、ついていこうかなって。やっぱ、先輩の影響って大きいですよね。


 

ー最後に競技部に対して求めるものについてお話していただきました。

 

奥田)当たり前が高いレベルになってほしい

例えば、一年生Tシャツ。練習中ずっと着用するブロックもあれば違うブロックもある。これから言えることはブロックで共通認識が違うってことだよね。そこから生まれる温度差が認識をうやむやにしていることが他にもあると思う。「いいんじゃない」の繰り返しで、当たり前が低くなりつつある。前の方が良かったってことではなくて、筑波大の良さである自由さが足を引っ張ってしまっている部分も少なからずあると思う。

高橋)他のパートと関われる機会が欲しい。交流できることはうれしいし、自分たちだけでは挨拶くらいしか関わる機会がないから。

橋本)部の中で誰がどんな仕事をしているか共通認識が必要だと感じる。自分も仕事をするようになって初めてありがたみを感じた。人任せを無くすには、だれが何をやってくれているのか知ることが必要だと思う。

山下)ブロック間の共有も大切だと思う。ほかの人の仕事が多かったり、内容を知ったりして自分にそれはできるんだろうかと感じてしまう。また部員総会では異議を唱えてくれる方もいるが、そういった考えを持てていない部分はいけないなと自分で感じている。それを少しでもなくすためまずはブロック間で共有する仕組みが必要だと感じる。

荒川)一人一役の意味が曖昧だと感じる。自分自身サポートとしてチームに対して働きかけることが多くなった。その中で、全員が本当に一人一役の意味を行動に移せているのか疑問に感じる。

 

「認識」「関わり」という言葉が多く出てきました。大きな組織になるほど難しいことですが、もう一度考え直す必要があると感じました。また、より具体的に各選手の意見をこの場で共有できたことは、組織の変化に少しでもつながるのではないかと思います。

 

対談記事は以上になります。今回の記事は以下の3人が担当させていただきました。

右から

中司菜月(体育3・短距離障害)【個人ページ】

真鍋綾萌(体育1・投擲)【個人ページ】

鈴木博貴(体育2・中長距離)【個人ページ】

 

最後までご覧いただきありがとうございました!