十人桐色の第26弾!テーマは「雪と陸上競技」になります。
今回は、北海道や東北地方、北陸地方や長野県といった冬に雪が降る地域の出身者をお呼びし、対談を行いました。それぞれの冬季練習の状況や練習の工夫、練習の捉え方など、その地域の出身者ならではの経験や考えに迫りました。ぜひご一読ください!
(コロナ禍の状況を加味し、オンラインツールZOOMを使用し、対談を行いました。)
担当(E班):安藤(社工4)・田中(体育3)・桑野(体育2)
◇今回のピックアップ選手◇
安藤)それぞれの地元の冬の状況を教えてください!
枝川)11月くらいからパラパラ雪が降って、本格的に積もるのは12月の中旬過ぎたあたり
ですね。11月は全然外で練習できるんですけど、12月にもなると外では練習できな
いですね…。2,3月くらいまで雪は降っています。
伊藤)私の地元(新得町)はそんなに降ってないんですけど、高校のある旭川市はけっこう降
っていて練習は大変でした。雪の降り始めは枝川さんと同じくらいなんですけど、雪
の量としては札幌市(枝川の高校がある場所)よりも多いと思います。
安藤)雪が降っていた時の練習はどんな感じでやっていたの?
枝川)週1~2くらいで雪中練習(雪が積もっているグラウンドで行う練習)をやるんですけ
ど、膝とか場合によっては腰まで埋まっている中、ダッシュしていました。腸腰筋が
めっちゃ鍛えられました。それ以外の日は廊下を走ったり、体幹とかウエイトを行っ
たりしていました。学外に屋内走路がある体育施設があって、そこにも週1くらいで
行っていました。
伊藤)高校の時期は駅伝がメインでやっていたので、冬はきつかったです。降雪量も多いし、
朝練が5時半から走るのでとにかく寒さがきつかったです。吹雪の日も集団走とか
していました。あとはスピードが出ないので、スピード練習をする際には3時間くら
いかけて札幌の室内練習ができる場所まで行っていました。朝練習も除雪されてい
る時もあれば、されていない時もあって、膝まで埋まっている中走ったことも何回か
ありました…。そんな中でも7~8km走っていました。
枝川)やば。(笑)ぼくは雪とかよりも道が凍っていることの方が怖くて…。滑ったりしな
いの?
伊藤)一番怖いのは雪の下に氷があるときですね…。滑るってわかっている状況なら注意で
きるんですけど、雪の下が凍っているときはわからないので転んでる人もいました。
安藤)雪の影響で苦しかったこと、逆に良かったことがあったら教えてください。
枝川)練習のことではないんですけど、朝練の時とかバスが雪のせいで遅れたりするんです
よね…。遅れるせいで早めに家を出なきゃいけないとかは辛かったです。良かったこ
ととしては、雪中練習は楽しくて好きでした。みんなで苦しみながら楽しくやってい
ました。さっきも言ったように腸腰筋はめっちゃ鍛えられましたね。
伊藤)苦しかったのはやっぱり朝練ですね。夏も同じ時間なんですけど、起きるのもつらい
し、気温も-20°とかで目を開けるのもきつくてその中走るのは大変でした。その中
でも良かったこととしては、高2の時に都大路で私の高校の過去最速タイムで走れて、
順位も悪くなくて、雪の中だからハンデがあるとかは無いんだなって実感ができまし
た。メディアとかには雪がある中なのに…と言われたけれど、そういったことを感じ
ずに、どんな環境でも工夫次第で頑張れるんだなってことを実感できたのが良かった
です。
安藤)おススメの防寒対策はありますか?
枝川)ヒートテックはめっちゃ着てました。あとスキーウエアは最強です。練習中でも使っ
てる人けっこういましたね。あとは靴の中に雪がめっちゃ入るんですよ。靴下が濡れ
てしまうので、ビニール袋を履いてから靴を履いていました。(笑)
伊藤)着るのも大事だけど着すぎると動けなくなるので、その見極めが大事だなと思います。監督によく言われてたのは三首(首・手首・足首)を冷やすなって言われていたのでいつも長い靴下を履いていました。
安藤)つくばの夏はどう?冬も北海道との違いがあったら教えてください!
枝川)気温はそんなに変わんないんですけど、湿度が凄く高くて蒸し暑いですね。冬は雪と
か去年全然降らないですよね。チャリ乗れるのはめっちゃいいなって思います。寒さ
自体は余裕だと思っていたんですけど思っていたほど余裕じゃなかったです。(笑)風
強いし、空気冷たいし普通に寒いです。(笑)
伊藤)私も同じ感じです。湿度はつくばのほうが高いので暑さの質が違いますね。北海道は
日光がガンガン照りの暑さでつくばは湿度の暑さという感じです。冬も違う寒さがあ
るなって感じます。私も自転車乗れるの最高です。(笑)
安藤)最後に今シーズンの目標を聞かせてください!
枝川)コロナのこともあってあまり走れてなかったんですけど、最近練習もつめてきている
ので、とりあえず自己ベスト付近まで戻したいなって思います。
伊藤)陸上もそうなんですけど、いろんな面に対して自分の将来進む道を見つけられたらな
と思っています。今将来やりたいこととかもまだ決められてない、見つけられていな
くて、見つかっていないと目標もちゃんと定められないと思うので、今シーズンとい
うよりは早めにそれを見つけて目標をしっかり立てていけたらなと今は思っていま
す。
◇北海道出身の二人。二人の話を聞いていると、不自由なく冬も練習が積めるということへのありがたみを感じます。雪がある中でも楽しさを見出していた枝川の話や、工夫次第で環境は変えられるといった伊藤の言葉がそれぞれ印象的でした。力強く語ってくれた二人の今後も楽しみです!
田中)お二人とも長野県出身ということで、長野県の雪事情を教えていただきたいです。
中野)俺が中心地区で、朋也が北信地区なんだけど、大まかに言っても違いそんなにないよな?
内山)でも練習できなくなるほど、めっちゃ困るってほど降ることあんまり…
中野)え、嘘!
内山)そんな降りました?(笑)
中野)冬は普通に積もってたよ。まあ最近は温暖化が進むにつれて、ってとこはあるけどね。高校1年、2年の時は全然雪かきスタートだった。
内山)まあ確かに。(笑)
田中)へえ!
中野)まあもちろん日によるし、年にもよるけど、基本的には3月くらいまで積もる日はあったな。
田中)3月まで雪降るんですか!
内山)なんなら4月も降ってたりしたよ。
田中)えええ!愛知じゃ絶対ない…(田中の出身は愛知県)。
中野)雪が降れば競技場は一面真っ白。もうどこからレーンなのか分からないくらい。(笑)
俺らの地域はいろんな高校が一緒に使っていたから、みんなで使うところだけきれいにして、って感じだったかな。
田中)大変なんですね…。内山さんはそんなに降らないって感じでしたけどいかがですか?
内山)まず俺らの練習が、冬場は結構競技場とかでやるってよりは室内のウエイトとか、学校の中でのサーキットとか、あとは日が良く当たって雪がすぐ溶ける坂とか、雪に影響を受けにくい場所で練習したりしていたから、あまり「競技場が使えなくて困る」みたいな経験が少なくて雪を苦としていなかったのかも。でも今思えば確かに雪は降っていたかもしれない。(笑)
田中)なるほど。
内山)結構雪かきとかも練習でさせられたりしていたから…意外と良くないすか、あれ。
中野)(笑)タイヤ押しみたいなね。
内山)朝練とかで校門から校舎までの道とかを雪かきするのが定番だったかも。どっちかと言えば、雪も練習になっていたところはあるかな。
田中)中野さんは雪降った時の練習いかがでしたか?
中野)冬は練習としては競技場で走りこみもあったし、あと競技場の近くに長い坂があったからその坂ダッシュもあったし、まああと長いジョグ、有酸素系をしたかな。ウエイトはあんまりやらなかった!これは高校の色だけどね。だからごめんだけどそんなにネタないな。(笑)
田中)そんな、お気遣いなく。(笑)
田中)話変わりますが、おすすめの防寒対策ってありますか?
内山)耐える。(笑)
田中)究極はそうですよね。(笑)
中野)…靴下二枚履く!とか!
内山)え、履いてました?
中野)だって足めっちゃ寒くない?
内山)俺スキーの時しか2枚履いたことないですよ(笑)
中野)ほんと?俺薄いのと厚めのやつ履くの多かった。足がかじかむのが嫌だったから。
内山)僕逆に手袋二重とかやってましたよ。手がかじかみやすかったんで。
中野)あ!俺もそうしてたかもしれん!スポーツ用の手袋の上に!
内山)普通のもわもわの手袋ですよね!笑 まあ結局寒いんだけどね(笑)
田中)今年寒すぎて耐えられなかったらやってみます。(笑)
中野)雪エピソードとして1個いい?
田中)ぜひ、お願いします!
中野)雪が降るおかげで競技場に雪が積もります、で誰かが雪をかかなきゃいけない、ってなると、競技場に来るタイミングもそれぞれだから、競技場に来たらすでに雪がかかれていることもあるんだよね。だから良いように言えば、それぞれの高校で支えあうというという雰囲気があったかな。みんなで競技場を使うから、先に来たら雪をかこうっていう風潮が、雪が降ったからこそ生まれたと思うよ。
内山)(笑)
中野)交流!地域のつながり!どう?こんな感じで長野県のイメージアップさせようぜ。(笑)
内山)大事っすね(笑)でも意識上がりますよね。いつもやってもらうと悪いから、今日は俺ら早く行こうぜってなって、結局練習時間も多めに取れたりするから、(練習時間が)多ければいいってもんじゃないけど、意識も高くなるかなとは思う!
中野)そう、だって後から来た方がラッキーじゃん。正直雪をかく時間なんて疲れるし。そう考えると、ね?(笑)
内山)そうっすね(笑)
中野)知ってる?長野県は横断歩道で車が止まってくれるランキング1位らしいよ。
内山)聞きました!(笑) 70弱くらいですよね、パーセント。
中野)その理由は何で?って考えた時に、長野県の子供たちは横断歩道を渡るときに、渡る前も渡った後もお辞儀をする風習がある、ってテレビで見た。
田中)渡った後も、ですか。
中野)そうなんよ、渡るときに軽く会釈する人は多いと思うけど、長野県では特にそれが当たり前になってて、雪かきにもそういう精神が受け継がれているんでしょうね(ドヤ
内山)確かに長野県に車で帰ってて横断歩道止まるとき、歩きながら挨拶じゃなくて、歩き終わってこっち見てしっかり礼してくれる小学生めっちゃいますもん。
田中)すごい…
内山)俺らも昔はやってたのかもしれないけど、今はもう横断歩道を渡るとき「あざっす」くらいだからさ、凄いよね。
中野)教育されてたのかな?
田中)それも覚えてないくらいに自然に身についているんですもん、素晴らしいですね。
中野)確かに、当たり前ではあったよね。
田中)最後に、コロナ禍で満足いく練習はできていないと思いますが、今シーズンの抱負をお願いします。
中野)まあ、俺は満足いくほど練習できていないけど、今年のインカレ漏れたし、たぶんM3になりそうなんで、来年に向けた蓄えの年かなって思っています。
内山)俺も試合がほとんどなくて、後半やっと、まあ少ないけど試合があるっていう状況で、練習ちゃんとできているかって言われるとできていないから、今年はほんとに勝ちに行くとか、周りのやつを倒して優勝してやるというよりは、試合が少ないからこそ、一個一個を大切に、楽しみたいっていう想いが強いかな。目標としてはそりゃもちろんでかい試合で入賞とかしたいけど、一番はやっぱり試合に出られるってことをありがたく思って楽しみたいです。
田中)私も楽しみながら頑張ります!対談へのご協力ありがとうございました!
◇雪から発展して、同郷出身の二人ならではの長野県エピソードを披露してくれました。ハンデを当たり前として、より良い状況のためにお互いを支えあう精神に非常に感銘を受けました。知らず誰かが整えてくれている環境に対しておごらず、謙虚にありたいものです。
桑野) 住んでいるところの冬・雪はどんな感じなのか教えてください。
渡邉) 福井は青森よりも雪は降らないと思う。年によって全然違うけど。昔はすごく降っていたけど、最近福井は全然降ってないかな。でも2年前に1回めちゃくちゃ降って、その時は1週間くらい電車が動かなくて、学校に行けなかったくらいだった。
笹野) 青森は基本毎年雪が降るかな。福井みたいな大雪っていうよりは、いつも同じくらい降る感じ。実は僕、いとこが福井に住んでいるんですけど(笑)
渡邉) そうなの!?
笹野) そうそう(笑)福井の2年前の大雪の時は玄関まで雪が来ていたけど、青森はそこまでいかないくらいに降る感じです。毎年雪が降るから、電車とかはそれに対応していて、雪の影響で学校が休みになることとかはなかったかな。
桑野) なるほど、じゃあ、雪が降った時にはどういう練習をしていましたか?
渡邉) 雪が降った時は、基本体育館とか、学校の廊下とかで練習していたかな。内容はウェイトとか体育館で補強トレーニングとかが多かったかなって思う。雪降って投げられないから、体育館の中で空ターンとか基礎練習をしていたかな。空ターン分かるかな(笑)まあとにかく回り続けた!(笑)あと、雪降ったらほんとに何か月も投げられないから、雪の降ってない他の県とかに行って投げの練習とかをしてた。
笹野) 青森は雪が降る降らないに関係なく、毎年10月いっぱいで競技場が閉まってしまうのでそれで練習できないっていうのはありました。校庭にも雪が積もっちゃって練習できないこともあるから、その時は学校の廊下で往復走やったり、階段上り下りとかしたり、高校に体育館とは別の室内の運動場があったのでそこでサーキットとか走ったりしていたかな。でも室内だと距離は稼げないので、ジョギングとかは外に走りに行ってた。学校の敷地内だったら雪かきされていてある程度走れたので、そこで長めのインターバルやっていたかな。あとはロードヒーティングで雪がなくなっている橋で坂練習をしてた。そんなに頻度は多くなかったけどノルディックスキーが練習の時もあったかな。
桑野) 僕は宮崎出身だから雪に憧れがあったけど、これまでの話を聞いて雪国はめちゃくちゃ大変やなって思ったわ、、、雪で練習に色んな影響が出たと思うけど、嫌だったこと、逆に良かったことがあったら教えてほしいです。
笹野) やっぱり嫌な事の方が多かったです(笑)まず寒さの影響で、体が温まりにくく怪我が増えることが嫌だなって思います。あと、雪かきしたあとでも地面が凍っていて滑りやすいところがあって、そこで滑って怪我しちゃうこととかもあるので嫌だなって思います。不便なことが多い中で、強いて良いところを言うとしたら、足場の悪いなかで練習をすることで足腰の強化になったことかなって思います。無理やり考えたけど(笑)
渡邉) 私は、一番は外でハンマーを投げられないってことが苦しかった。冬期練習中はほとんど投げられないから、久しぶりに投げたときに感覚に大きな差が出てしまうこともあって。あと、練習中にあられが降ってくることがあってその時は寒いし痛いからきつかったな。良かったことは外で練習できない分、補強とか体作りをしっかり冬期練習でできたことかな。でもわかんない(笑)良いことってある?(笑)
笹野) ないんだよね(笑)無理やり作ればって感じ(笑)
渡邉) 自分の高校の先生は、雪国は外で練習できない分補強が多くなるから、土台がしっかりするって言われた。
桑野) なるほど。では次にオススメの防寒対策を教えてもらいたいです。
笹野) 最近防寒対策でいいなって思っているのはドライナミックっていうインナーです。夏の汗冷えを防いでくれるものなんですけど、調べてみたら夏場だけじゃなくてシーズン全部で使えるらしいので、まだ冬に使ったことはないんですけどこれから使ってみようと思います。ドライナミックおすすめです!
渡邉) 練習では足首まで隠れる靴下とか、手袋は絶対にしていましたね。手袋は練習していたら汚れたり、擦れたりするからよく軍手をよく使っていました。
桑野) それぞれの地元とつくばの冬のギャップについて教えてください。
渡邉) 雪が降らない冬は初めてだったので一番驚きました。雪が降らない分ずっと投げられるので、大きく冬期練習が変わったと思います。
桑野) そっか、いままでと全然違うのか。やっぱり投げられる方がいい感じなの?
渡邉) そう、全く違う。私的には投げられる方がいいかなって思う。
笹野) つくばでは雪も降らないし、競技場も一年中使えるから快適だなって思います。競技場以外のコースでも雪が降ってないからすごく走りやすいと思う。でも、青森は室内の暖房設備がしっかりしているからそこは青森の方が良いなって思う。二重窓になっていたり、玄関が二重になっていたりしたから、室内に入ってしまえば地元のほうが温かいな。去年、つくばの冬を過ごしたけど普通に寒いと思います。東北が地元だから寒いの得意でしょって言われるけど寒いものは寒いです(笑)。
桑野) 逆につくばの夏についてどう思いますか?
笹野) 青森の夏もそれなりに気温は上がるので、青森にいるときも暑いなって思っていたんですけど、つくばはもっと暑かった。帰省した時にはやっぱり涼しくて、過ごしやすいなって思った。あと、つくばは日が暮れるにつれて過ごしやすくなるって印象があるかな。
桑野) つくばの昼と夜の気温差って気になる?
笹野) 地元にいたときも気温差はあったから、個人的にはそんなに気にならないかな。
渡邉) 自分はつくばの気温差激しいなって思う。高校の時は海が目の前やったから、暑かったけど海風のおかげで割と涼しかった。でも、つくばは高校の時に比べてあまり吹かないから本当に暑いと思う。あとこの前まで梅雨ですごい雨降っていたのにいきなり暑くなったから余計に暑く感じるんだと思う。
桑野) ありがとうございます。最後にコロナ禍で思うように活動できないと思いますが、そんな中での今シーズンの目標を教えてください。
笹野) この前の競技会でベストを更新できたので、この調子でベストを更新していき、今季は4分フラットを目指していきたいです。まだ対外試合に出られる力がないので、自分との戦いに焦点を置いてタイムを狙って行きたいです。
渡邉) 最近ハンマーの感覚・技術も戻ってきているので、今シーズンはインカレでは優勝、日本選手権ではメダル圏内を狙っていきたいなって思っています。記録的にはベストの+2mの62mあたりを狙っていきたいなって思ってます。
◇よくない環境に負けず、工夫して練習してきたことが良く伝わってきました。そんな彼らだからこそ、コロナ禍でも的確な目標を持てているのではないかと感じました。そんな彼らのこれからの活躍に期待です。
今回の対談は以上です!次回記事もお楽しみに!