はじめまして。男子長距離ブロック2年の黒木聖と申します。
この度は私が執筆し、また皆様にお読みいただく機会をありがとうございます。この十人桐色をはじめとする陸上競技部のブログは毎回楽しみに拝読しているので、今回自分が担当させていただくことを大変嬉しく思うとともに身が引き締まる思いです。
私は一昨年度に再受験を経て今年度体育専門学群の2年生になりました。
今回は自分の経歴も交えながら、マイナスとプラスという二つの言葉をテーマに綴っていきたいと思います。
私にはこれまで経験してきた数多い「マイナス」の中でもひときわ忘れられない出来事があります。それは高校3年生の高校駅伝前の出来事です。
小学4年生から陸上競技・駅伝を始めた私は高校まで競技を続ける一方でとても力のない選手でした。17歳の冬まで中学校の県通信大会標準記録すら突破できないほどの実力です。そんな私でしたが、ありがたいことにラストイヤーでは県高校駅伝のメンバー争いができるところまで成長することができました。

絶対に駅伝を走り、県を勝ち抜き、憧れの同期と全国の舞台で襷を繋ぐ。少しずつ現実味を帯びてきた夢の矢先、試練にぶつかりました。県高校駅伝直前の最重要練習の最中トラックの縁石につまずき足首を骨折してしまったのです。
この怪我によって思い描いていた大逆転は叶うことなく終わりました。チームも県4位で全国に駒を進めることはできませんでした。怪我がなかったら思い通りに事が運んだかは定かではありません。しかし当時の自分は現実を受け入れることができず、怪我という「マイナス」さえなければ全てうまくいっていたという固定観念に囚われていました。マイナスをマイナスとしか捉えられていなかったのです。
しかし実はこの怪我が体育専門学群(以下、体専)再受験という経歴にまで繋がっています。
私は高校3年生のときも体専の一般受験を目指していました。しかし怪我により駅伝だけでなく秋シーズンの記録会出場も頓挫したことを受け、より早い時期に行われる推薦入試で他学類を受験することで合格後に好タイムだけでも残して卒業するという計画に切り替えました。結果運よく文系の学類に合格をいただくことができ2022年度に一度筑波大学に入学をしました(合格後のタイム狙いはうまくいきませんでしたが)。
しかし最も学びたかった体育・スポーツへの諦めがつかず、今一つ前所属学類での勉強に入り込めなかったこともあり2023年中頃に体専再受験を決意しました。
一見すると遠回りな道のりでしたが、あのときの怪我をきっかけに他学類を受験したからこそ全く違った分野に触れることができ、同時に体育・スポーツへの思いに気づくことができました。そして何より2年間のつくばでの¨見習い期間¨を通して出会えた皆さんや現同期のみんなという大切な仲間を得ることができました。(同じ環境で競技ができていることからはもちろん、何気ない会話や競技会運営等の関わりを通していつも元気をもらい支えてもらっています。ブロックや学年関係なく、みんなありがとう!)
そのときはマイナスとしか思えなかった出来事からも自分次第で学べることや得られることがたくさんあることを学びました。このつくばの地で人に恵まれたくさんの経験をさせていただけているからこそ言えることかもしれませんが、今ではかつての試練は必要な機会だったと感じています。

人それぞれ経験する出来事は十人十色でしょう。今向き合っている出来事がマイナスにしか思えないような苦しい場面は競技に真剣に向き合う上では誰しもが通る道かもしれません。現状に満足しない心は強くなるための原動力である一方で、自分を否定し吞み込んでしまう危険な一面も含んでいると思います。
マイナスに押され気味のときも、いつも私たちには頼れる仲間がいます。筑波大学陸上競技部では生い立ちや種目はもちろん、物事に対する考え方や捉え方も異なる選手が一つに集まり競技に取り組んでいます。同じ練習をするメンバーはごくわずかでも、同じ競技場で声を掛け合いながら研鑽を積んでいる本競技部はブロックを超えて切磋琢磨する一つのチームです。苦しいときこそ思いを共有し補い合いながらマイナスからプラスを生み出し進んでいける場だと信じています。だからこそ様々な種目の仲間との繋がりをこれからも大切にしていきたいです。
最後に、私自身かつてマイナスだと感じた出来事は未来でより大きなプラスを手にするための伏線だったと言えるような4年間にしたいと思っています。遠回りを経たからこそより大きくなれたと言えるように…これからの自分次第ですがピンチはチャンスにできるはずです!
最後までお読みいただきありがとうございました。
