【十人桐色】#61 大学院生対談

十人桐色の第28弾です!

今回のメインテーマは「大学院生対談」になります!

コロナ禍でのインタビューだったため、今回はZOOMでインタビューをさせてもらいました。

インタビュー担当(G班):浅井さくら(体育4)、杉山駿介(体育3)、中谷桐子(体育3)、橋本昇悟(体育2)

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今回のピックアップ選手(①誕生日、②好きな歌手と曲、③おすすめつくばご飯)

渡部海帆(①1996年7月9日、②BUMP OF CHICKEN プラネタリウム、③わかたろう)

谷内剣(①1997年4月8日、②Mrs. GREEN APPLE 青と夏、③ふくろう)

芝井良太(①1997年5月22日、②Mr.Children 花火、③くい亭

黒住莉那(①1997/12/2、②証拠(ジャニーズWEST)/NIPPON(椎名林檎)
③大成軒/プリムローズ)

銭場望美(①1996年7月18日、②Creepy Nuts たりないふたり、③とんとこ豚

石川稜将(①1996年8月1日、②B’z RUN、③ふくろう)

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Q 大学院に進んでも競技を続けている理由を教えてください。

黒住)ずっと学年が下の時に怪我などがあり、4年生になってからしっかり競技ができ始めて、久しぶりに陸上競技が楽しいと思えるようになった。全カレの選考会も初めてまともに闘えて標準も切ることができたけれど、その全カレの選考会では選考に落ちてしまって。それでもしっかり闘えたから満足だと思って4年の全カレの応援に行ったけど、選考を勝ち取った三人の姿を応援席から見ていたらすごく悔しいというか、頑張ってほしいという気持ちもあったけど、その年に限って筑波大以外が2人しか選手を出していなくて、筑波大以外に進学していたら自分も全カレで投げられたかもしれないと考えちゃうとすごく悔しくなった。泣けるぐらい悔しかったらまだ競技を続けられると思って大学院に進んでも競技を続けています。

石川)競技を続けている1つは実践にいきるようなテーマを掲げている研究室に所属していて、そのように考えた時に競技をやめた場合に競技者としての自分とはかけ離れてしまうと思った。修士の段階ではまだ競技を続けて研究に生きる競技、競技に生きる研究をそれぞれ進めていければより良く、競技と研究は両立できるかなと考えた。2つ目は、高校でインターハイ、大学では日本インカレとそれぞれ全国大会があって出場を目指していたけど、結局どちらも叶わずで、過去を振り返った時に満足できる結果っていうのが残せていなくて、大学院に進んで日本インカレ出場を目標として競技を続けて、何か満足のいく結果を残して引退できるようにしたいなと思って大学院でも続けている。

銭場)私は片足義足でパラ系の陸上をやっていて、元々大学の間に頑張るとか、インカレに出場することが目的ではなく、学生の間に陸上をするというよりも、自分が出場できる範囲からは遠いかもしれないけれど、東京の次にあるパラリンピックまでなんとなく漠然と28歳になるくらいまでは競技をするだろうなと思っている。大学院に行くから競技を続けるとかは正直あまりなかった。4年生の時とかは正直競技を続けるにしても陸上競技部に残るかどうかは迷った時もあったけど、環境面とかを考えたら残ったほうが自分のためにもなるし、いろんな経験ができると思って結果的には大学院生になっても競技部で陸上を続けている。

Q 大学院生になると研究と競技の両立が印象的ですが大変なことはありますか。

銭場)去年とかは学会発表とかも結構あったのでそうゆう時期になると忙しくなったり、どんなに競技をしたいと思っても勉強の方に時間を割かざるをえない時があった。テストとか授業のこともあるので。そうなった時に、気持ち的にも少し陸上から離れてしまう時間が長くなってくると、競技に切り替えることが難しかった。やばいと思ってシフトチェンジするよりは常にバランスをとってやったほうがいいと理想では思っています(笑)4年生の時間のある期間を1度体験してしまっているから、学群1、2年の頃の忙しい中で競技に時間をとっていた時の感覚で今はやらないといけない。

石川)これまでも研究室のことで忙しいことがあって、そういう時は競技の方にあんまり意識を向けられなかった。今思えば学群生の時はテスト期間には睡眠時間を削って競技の練習が疎かになるというか、思うようにできないと思いがちだけど、テスト期間っていうのはある程度わかっていると思うので、練習メニューの計画の段階でその期間を見越してメニューを組み立てておけば良かったなと思っている。両立できるのが理想であるけど、どちらかにシフトしてしまう悩みはある。いいバランスっていうのをその時その時に見つけ見つけられたらいいと思っています。

黒住)学群生の時もテスト期間とかで睡眠時間を削って競技もするし、徹夜で勉強するみたいな感じだった。けど、4年生とか大学院生になったぐらいから、大体練習で抑えておきたいポイントさえ理解していれば最悪の場合でも維持できるだろうということはわかってきた。陸上を十数年やっているけどそれを掴むことができてきたので、学群生よりは落ち着いて勉強と部活の両方をできるのかなと思ったりする。

Q 皆さんは大学院ではどのような研究をしているのですか

銭場)私は学群の時に工学システムという学類にいたのでそこの大学院のシステム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻というところに所属しています。やっている研究としては飛行機とか、棒高跳びのポールとかに使われているガラス繊維の研究をしていて、ガラス繊維を材料として作られたものの強度とかが実際に物を作る時にどのくらいバラつきが出るかを研究しています。私が陸上で使っている義足も一応繊維の種類は違うが似たような材料を使っているのでちょっと自分の陸上にも関係のあるような研究ができたら面白いかなと思って研究をしています。

黒住)私は体育専門学群からそのまま人間総合科学研究群の体育学の学位プログラムに進学し、専攻は外科系スポーツ医学でチームドクターの向井先生の研究室で研究を行っています。専門は肘関節のMRI撮像をしてどのような変化がやり投げ選手にあるのかという研究をしています。卒論でもやり投げ選手の障害調査とそれに加えて肘のMRIを撮像したが、内側側副靭帯という肘の内側にある靭帯の損傷率が100%という恐ろしい結果になった。それを引き継いで大学院ではそれが果たして一般的な損傷と言えるのかとか、肘の痛みがMRI上では損傷有りとなっても痛みの自覚がないという選手が結構たくさんいる。そこでなぜ損傷があるのに痛みが出ないのか、痛みが出る要因とかを研究できればいいかなと思っています。

石川)大学の卒論ではジャンプテストを用いて、短距離とか跳躍などの専門の種目において、ジャンプで特性に違いが見られるのかについて研究をした。修士の方ではテーマを変えて、色々な状況下でのジャンプがどのように変化するのかについて研究してみたいと考えている。

Q 自分の競技の好きなところや魅力は?

銭場)走り幅跳びの好きなところは、局面を分けて考えやすいところです。普段練習したり、練習以外の時間に走り幅跳びについて考えてることが楽しい。結構課題を見つけやすかったり、結構間違えたりミスしたりしたことが目に見えて分かりやすくて、積み上げていきやすい。難しさも達成感も感じやすいし自分の中のイメージも作りやすかったりするので、そうゆうところですごく楽しいと思っている。

黒住)私の専門種目のやり投げでは、飛距離が出るし動きもダイナミックな競技でもあるのでそこが魅力だと思う。一個直したら、投げの形が変わったり、結構選手によって投げ方が変わったりする。男子と女子でも全然違う。最初は横から見て距離を飛ばすことに目を向けがちだけど、後ろから見ていくと選手の投げとか、助走のスピードが投げによって変化しているのかがわかる。いろいろな角度からやり投げを見ると面白いと思う。1投1投が同じようで全然違うので、それはフィールド種目全てにおけることでもあるので魅力の1つだと思う。

石川)自分の中で10種競技の魅力ついては2つある。1つ目は10種目あって競技を行う上では大変な部分もあるけど、伸び代が10種目分あると捉えた時には自分の可能性は常に無限にあるっていう風に捉えられる。その時その時で行き詰る種目があったとしても、10種全体として見た時にまだまだいけるんじゃないかと可能性を感じられて楽しく競技をすることができる。2つ目は最終種目の1500mが終わった時にはやり切ったという満足感とか達成感を得られる。それに加えて1人だけじゃなくて、それまでライバルだったみんなと円陣を組んだり、写真を撮ったりしてみんなで達成感や喜びを分かち合える瞬間がとても好き。

Q 来年大学院に進んで競技を続ける人などにアドバイスがあればお願いします。

銭場)もし大学院に進学しても大学院生でも結果を残したいと思っている人や、卒業した後もしっかり競技を続けていきたいという気持ちを持っている人がいれば、卒論の時期にもバランスをとって練習することも大切だと思うし、卒論を書き終わって達成感とかがあると思うけど、程よく息抜きをしながらも競技のことを忘れずに残った時間を楽しんでほしいと思います。研究との両立っていうのはわかっていることだと思うのでそれを忘れずに頑張ってほしいと思います。

黒住)自分の興味を突き詰めるということを自分の軸として持つことはすごく価値のあることだと思うので、それを自分の強みにするために大学院に進むのであればすごくいい選択だと思います。特に筑波大学はいろんな研究分野の先生がいらっしゃるし、プロの選手がいたりするのでしっかり交友関係を広げたり、自分の足で色々なところに行ったりすることを大切にすればいい大学院生活が送れるのではないかと思います。

石川)競技にフォーカスして考えた場合には、大学院に進んだ場合にも大きな目標というかブレないものを持っていくことが大事になってくるのではないかと思います。


 

 

Q.大学院に進んでも競技を続けている理由は何ですか?

渡)理由は単純に陸上がすごく好きだから、やめたくないっていうのが強いかな。もし学群で卒業したとしても、自分で競技場とか行ってやっていたと思うし。だから好きだからやっているっていうのが1番大きいですね。あとは、勉強だけしていても絶対つまんないって思ったから、それもあります。
谷)海帆さんと被るところもあるんですけど、僕はいろんなことをがんばっている人になりたいなって思って今もやっています。研究するのが院生にとっては一番大事なことだと思うんですけど、やっぱりそれだけじゃなくて、陸上も一緒にやることでどっちもうまくいくんじゃないかなって思ってやっています。
芝)僕は海帆さんとまる被りなんですけど…(笑)。好きだから、楽しいからやっているって感じですね。あとは、もうちょっと頑張れば、県の記録に残りそうなので、頑張っています。
谷)僕と芝井、県が一緒で、学年も一緒なんですけど、大学に来てからめちゃめちゃ記録伸ばしていてびっくりしました。すごく尊敬しています。
中)すごくいい関係ですね。

Q.大学院ではどんなことを学んでいますか?

渡)私の所属している研究室はスポーツ産業学研究室で、スポーツビジネスについて学んでいます。ただお金を儲けるだけのスポーツビジネスじゃなくて、スポーツの文化性や公共性を守りながらスポーツでビジネスをしていくみたいな。あくまでお金儲けではないスポーツビジネスについて勉強しています。
谷)僕は体力学研究室で勉強しています。研究室のテーマなんですけど、動きの制御について研究しています。僕は、大学院を修了したら学校の先生になろうと思っていて、運動が苦手な子とかも、この研究によって運動ができるようになったらいいなって思っています。
芝)僕はコーチング論トレーニング学っていう領域に所属しています。現場でのコーチングというよりは、現場外でのことですね。僕の専門は、学生アスリートのキャリア形成的で、よりよいキャリア形成を積んでいくためにどうしたらよいか、どんな経験が必要なのかってことをメインでやっています。特に海外に向けてとか、海外から来る学生アスリートを対象にやっています。
渡)かっけい!
浅)ほんと、皆さんかっこいいですね!

Q.院生だからこそ大変だなと感じることはありますか?

芝)3年生くらいまでは将来のこともあまり考えず、すごく集中して陸上にエネルギーを送れたんですけど、4年生から院生になってくると、卒論、修論、就活といろいろ注ぐ力を分散させないといけなくて、それが大変かなって思います。学群生の時にはもっと陸上ができていたのに今はできないっていうもどかしさが、僕は難しいですね。
谷)あと、学群とかって結構授業があって、日々やることが設定されて、課題も出されるって感じだと思うんですけど、大学院って自由な時間が結構あるんですよ。その自由な時間をどれだけうまく使えるかっていうところで、大学院修了した後のことがすごく変わってくると思います。だから長い目で見て、今何をしないといけないのかっていうのを常に考えないといけないっていうのが大学院の楽しいところであり、難しいところであるかなって思います。
渡)2人の言ったことに補足をすると、大学院生は学群生よりも自分で考えてやらないといけないことが多くて。例えば、学群生は授業も先生の話を一方的に聞くことが多いけど、院生はディスカッションの授業だったり、グループで考えたことを発表したりだとか、授業の中で考えることがすごく増えるかな。あと、修士論文を書かないといけないんだけど、それも学群生の時の卒業論文とは質も全く違って、もっとレベルの高いものが求められるから、自分がやりたいことを見極めて、そのためには何が必要かっていうのも考えたうえで、論文を読んだりしないといけないっていうのが、学群と院生の大きな違いかなと思います。
中)院生も授業はあるんですか?
渡)うん。院生でも授業を取るよ。
谷)ほとんどM1で終わりですけど。
渡)そう。だから私とかは今年は授業全くなくて、ゼミだけ。だから逆に難しい。
中)そうなんですか。院生の方はやることがいっぱいあるんですね…。

Q陸上競技の好きなところはどんなところですか?

渡)私は走高跳をやっていて、走高跳が単純に一番かっこいいと思ってるから。それぞれの種目がそれぞれをかっこいいと思っているだろうけど、体一つで自分の身長やそれ以上の高さを跳ぶっていうのは、すごいかっこいいなぁと思っているから。もちろん他の種目もかっこいいと思うけど、やっぱ高跳びが一番かな。
谷)陸上競技全般に言えることだと思うけど、僕は中一から今まで陸上やってきて、高校三年生までは毎年調子あがっていって、いい記録も沢山出てたんですけど、大学に入ってから記録がガクンと落ちてしまってほんとにしんどい時期があった。でも四年生の最後の最後にベストを出せたとき、なんか過去の自分を乗り越えるだけでこんなに楽しいのかと思えて、それで今も陸上を続けているっていうのもあります。
芝)棒高跳びはとても複雑で、ただ単に早く走れてもダメな競技だし、いろいろなアプローチから上手くなるために取り組めることがたくさんあって、まだできる、まだできるって気持ちがどんどん湧いてくるから棒高跳びは楽しいなって思います。
浅)自己を乗り越える楽しさが陸上にはありますよね。
渡)あと陸上は地面さえあればできるよね(笑)
谷・芝)たしかに(笑)
渡)だけど一番複雑な競技だと思う。そこが楽しいんだよね。

Q来年大学院に進んで陸上を続ける部員にメッセージをお願いします。

渡)やるって決めたら、陸上にも研究にも全力で取り組んでほしくて、どっちかがおろそかになっちゃうっていうのはどっちにもよくないと思う。研究がうまくいかないからちょっと放り投げて陸上をやっていたら、結果を自分の中で陸上のせいにしてしまって後悔してしまうと思うし、逆もそうだと思ってる。自分でやるって決めたなら、どっちも全力で楽しんでやってほしいです。
谷)跳躍ブロックのコーチ、木越先生がよくおっしゃっているんですけど、「文武不岐」って言葉。それぞれ別々で頑張るって考え方もあると思うけど、両方結局はつながっていると思うので、そこを意識しながら大学院の2年間の生活を送れば、張りのある生活を送れるんじゃないかなと思う。そのためには時間の使い方とかうまく考えながらやっていってほしいかなと思います。
芝)院生になってくるとやることが増えてきて、陸上だけに集中するってすごい難しくなってきちゃうので、バランス感覚をうまくとって、どっちにもちゃんと注力できるようにしてほしい。どっちにも100%って難しいかもしれないけど、手を抜きすぎず、やりすぎずほどほどにうまくバランスを取りながら、どっちもうまくいくような感覚を持って色々臨んでいってほしいと思います。


今回は、院生の皆さんにお話を聞かせていただいきました。長い間、競技を続けていることもあり、経験を踏まえた教訓やメッセージなど、貴重なお話ありがとうございました。

また、我々は院生からの入部もお待ちしております。次回の投稿もお楽しみに!!!