【十人桐色2024】#13「4年間で何を目標に掲げたいですか?」巖優作

巖優作(体育4・やり投)


「4年間」長いようで短い日数ですが、皆さんは4年間の競技部生活、何を目標に掲げて過ごしたいですか?

 

私が大学入学当初に掲げた目標は、「関カレ、全カレ4連覇。大学日本記録更新、パリオリンピック出場」です。4年が経った結果としては、これら大きな目標には全て届きませんでした。勿論、この目標は私の中でブレることのない目標でしたし、容易に達成できる目標ではありませんでした。

では、この4年間を振り返り、失敗や経験から得た学びを今回のコラムで綴りたいと思います。

入学当初私は、高校歴代2位、入学前の筑波大学記録更新など一般的には期待される新入生として入学しました。しかし、入学して1ヶ月後の関東インカレ選考会の1投目を投じた際、肘からパキッと音がしました。そこで右肘の靱帯を損傷しました

それから1年目の試合は出場できず、1年生の冬復活を誓って毎日目いっぱい気合いを入れて練習をしていた時に、過労による脛骨の疲労骨折。そして、少し無理をして出場した2年目の初戦の学生個人選手権で肘の怪我が再発し、その年もほとんどの試合に出場できずに気がつけば怪我にまみれて2年目のシーズンが終わっていました。

なんとしてでも怪我を克服して投げられる身体にしたいと思い、練習内容以外にも様々な面で、競技生活について見直しました。そこで、気合いと惰性で乗り切っていた2年間と違い、練習量を落としたり、サプリメントを活用することなど工夫をするようになりました。ですが、2年目の冬場の練習は全く思うように小さい課題も達成できず、不安な冬季練習でした。2月末に海外で合宿に参加することが決まっていましたが、直前の投擲競技会では良くて65m(当時PB76m)という状態で現地に向かいました。そこで世界で活躍するコーチ、選手と過ごしたことがキッカケになって、共に寝食をしたディーン元気さんから競技面、生活面など多くを観察して学び、それにコーチの指導も加わり、出発前から10m以上も距離が伸びました。

満を持して迎えた初戦で自己ベストの80.09を記録し、3年目でようやく自己ベストを更新しユニバーシアードの代表も決まって飛躍の年にすると決意しましたが、その年は試合を重ねるにつれて結果は右肩下がりになってしまいました。

この悔しさを晴らすためにも必ず来季はパリオリンピックに出る。その目標を掲げて冬季練習を過ごす中で、1月に合宿でフィンランドに行きました。そこで、3年目のシーズンが終わって気付かぬうちに頭のどこかで慢心してしまっている自分に気が付かされました。現地に行くと85m以上級の選手がゴロゴロといる中で、私のベースの体力は圧倒的に弱く、相手にならない程でした。そこで、私が目指している目標の高さを認識させられたとともに、それに挑む覚悟が足りていなかったことに気がつきました。しかし、気づいた頃には2月。焦ってトレーニングにばかり手を出して、肝心の技術に手が回っていませんでした。そうして迎えた3月の南アフリカ合宿での試合は、69mと72mで当然思うように結果は出ず、焦った矢先にオリンピックへ向けたシーズンが始まってしまい、試合では失敗続きで焦りと不安に埋め尽くされて、オリンピックへの挑戦が終わってみれば、右も左もわからない迷走状態に陥っていました。

この状態では、自分1人じゃどうにもできないと考え、安藤財団グローバルチャレンジプロジェクトの支援を受けて夏場にフィンランドへ合宿に行きました。現地では、最高の環境で、技術指導をほぼ1から受け、レールを敷いてもらったおかげで少しずつ投げの形も良くなりました。

しかし、日本インカレは不安で仕方ありませんでした。理由は、今季の試合はほとんどが練習は良くても試合で崩れていくパターンだったからです。どうしても拭いきれなかった不安は、良い想像ばかりで埋め尽くして脳を騙すことにしました。その結果、シーズンベストで2位。目標には届かず悔しい気持ちはあったものの限りある学生陸上競技の最後のインカレを自分の競技スタイルで全力楽しめたという意味で悔いなく締めくくりました。

こんな感じで4年間のシーズンが終わり、結果としては目指した目標に手は届きませんできた。しかし、この4年間の競技生活で試行錯誤してきたからこそ、今後の競技生活に生かすことのできる経験は沢山できたのではないかと思います。

 

長くなりましたが、これが私の4年間の競技生活です。

私が大きな目標は達成できなかった理由、想像できたのではないでしょうか。

私に1番足りなかったものは、一言でまとめるなら「覚悟」だったと思います。 

 

また、4年間を振り返り、伝えたいことは「失敗から学べることは沢山、失敗を恐れないこと」と「地道に取り組んでいるとどこかでキッカケが訪れること」と「行動あるのみ」だということです。

 

そして大きな目標の達成に最も重要なのは、「小さなこと、日々の積み重ね」なのではないかと思います。目標が大きいほど、どうしても背伸びして無理をしてしまいたいところだと思いますが、自分と向き合って地道に取り組むことで、大きな目標も達成できるんじゃないかと思います。これは私が達成して証明したかったですが、今後も私が肝に銘じて取り組みたいことです。

その原動力となるのはどれほどそうなりたいと思えるかがカギになるはずです。

皆さんもこれを機に4年間の目標を見つめ直してみてはいかがでしょうか。

目標を見つめ直しているとふつふつと闘志が燃えてくるかもしれません。

あいやぁ。パワァ。

 

 

(今回はおそらく最初で最後のコラムということで、おおよそ筑波大学陸上競技部の方へ限定的に綴りました。ご覧いただき、ありがとうございます。また、入学時からは考えられないほど、競技者としても人としても成長させてもらいました。まだ、半年ありますが、皆様死ぬほど頑張りましょう。

最後に、普段から私の周りで支えてくださる方々のおかげで4年間の試合を無事に終えることができ、幸せな期間でした。いつも支えていただき、本当にありがとうございます。2025シーズンに向けて頑張ります。よろしくお願いします!)