【十人桐色2025】#29「ドレッシングはかけない!」鈴木一之竜

こんにちは。こんばんは。今回執筆の機会をいただきました、短距離障害ブロック2年の鈴木一之竜と申します。「執筆」といっても、令和の時代、デジタルに抗うことはできず、キーボードを打ってこのブログを書いています。いずれにせよこのような場を与えていただいた広報委員会の方々、本当にありがとうございます!思うままに精一杯、伝いたいことを表現したいと思います。

広報委員の方に「十人桐色書く?」と言われた時、反射で「書きます!」と言ったのはいいものの、実際何をかけばいいのか、自分は何を書きたいのかは明確になっていませんでした。

そこで、歴代の十人桐色に片っ端から目を通すことにしました。おかげさまで十人桐色マスターです。Mr.十人桐色と呼んでください。

読み漁った感想としては、「すごい」の一言です。自分の感性や考えを説得力に乗せてまっすぐ表現した文章に、脱帽しました。改めて、この競技部に所属する方々へ、尊敬と憧れの気持ちを抱くばかりです。

「改めて」というのも、僕は入部した当初から今日まで、その気持ちを抱き続けています。多くの同期や先輩方、最近は後輩とも関わらせていただいていますが、皆それぞれの強みを持っているなと感じます。

競技力が高いことは言うまでもなく、賢い人、コミュ力が高い人、礼儀正しい人、いつも冷静な人、切り替えが上手い人、メンタルが強い人、誰にでも優しい人などなど。挙げればきりがありません。

端的にいうと、筑波大学陸上競技部の皆さんは、競技力に加えて人間性が高いということです。ずっとそう感じて、尊敬し憧れています。大袈裟ではありません。

私はというと、競技力は乏しく、機転の利かないおっちょこちょいです。コミュニケーションは上手そうで下手だし、礼儀はあと一歩足りない。おまけに、はっちゃけることが好きなせいで、いつもやらかします(特にカラオケ、みんないつもごめんね♡)。わかる人にはわかると思いますが、大袈裟ではありません。

こんな私でも、入部する前は、人間性という点において一定数自信をもっていました。が、こんなことをいうと同期から野次が飛んでくるでしょう。前述のとおり、決して人間性に関して胸を張れる者ではなかったからです。入部早々、周囲の方々の競技力はもちろん、人としてのレベルの高さに圧倒されたことを、今でも覚えています。僕が持っていた自信は見事に打ち砕かれました。井の中の蛙、大海を知るとはこのことです。カエルあんま好きじゃないけど。

筑波大学陸上競技部という環境に打ちのめされたとき、私は入部前の自信が過信であり、自分はちっぽけであることに気づかされます。しかし同時に、皆さんに対して憧れを抱くきっかけになりました。目指す場所ができた感じです。どうすればみんなみたいに立派になれるかなー、と競技場からの帰路で空でも見上げながらひとり考えるようになります。ジブリみたいでいいでしょ!

つまり、私にとっての目標は立派になることだったわけです。が、その「立派になる」という目標を手っ取り早く果たすために、自分を強く見せようとしていました。例えば、自分や他人に噓をついて欠点を隠したり、自慢したり、カッコつけたり、打算的になったり。「着飾る」ってやつですね。こうすれば、立派になったと錯覚できます。

しかし、そう見せようとしていただけで、実際は立派になるどころか何も変わっていませんでした。また、「立派になった」という錯覚が自分の成長意欲をストップさせていました。むしろ強がれば強がるほど弱く見えていたと思います。立派な人間になることにおいて、強がるなんて小手先の手段にすらなりえない、無意味な行為でした。

ここで大切にしようと決心したことが、「等身大の自分を受け入れる」ことです。自分弱さを隠すのではなく、今のありのままの自分の弱さを認めて謙虚に成長しようと考えました。

そりゃ怖いし辛いですよ~、等身大の弱い自分を認めるのは。でも強がっていては何も成長できません。弱さを認めずに成長し始めることは無理だと気付きました。競技部の皆さんにとっては当たり前体操かもしれませんが、僕は18になってこれにやっと気付きました。

いい例え話があるので紹介します。サラダにドレッシングをかければ、そのサラダは美味しくなるでしょう。野菜の弱点である苦味や酸味をかき消して、理想の味に変えることができるからです。しかしその味はドレッシングの味であり、野菜そのものの味ではありません。野菜自体は何も変わっていないのです。大切なのは、ドレッシングをかけないことです。そりゃ味薄いし苦いから美味しくないでしょう。しかし、その野菜の弱みに真っ正面から向き合い、野菜そのものを成長させれば、いずれドレッシングなしでも舌を唸らせるサラダになりえます。

こんな童話みたいな例えを思いついて、題名を「ドレッシングはかけない!」にしてみました。あくまで比喩ですが、このブログで僕が伝えたいことを要約するのにピッタリの言葉です。ちなみに和風ドレッシングが一番好きです。餃子には何もかけません。蒸したジャガイモにはマヨネーズです、よね?

脱線しましたすみません。とかく、成長しようと思った時、自分を大きく見せようとせず、まずは等身大の自分を受け入れること。謙虚になること。はじめの一歩はそこからだと考えています。弱さを認めた先には、きっと強さが待っているでしょう。いつか皆さんみたいに立派な人間になれるように、カッコつけず、地に足つけて素直に頑張ります。僕にダメなところがあればなんでも指摘してください!メンタル鬼強なんで!

こんなところでキーボードを打つのを止めようと思います。分量がかなりあったかと思いますが、ここまで読んでいただき本当にありがとうございます!! あと、いつもみんなありがとう。

最後に一言。僕はよく目つきが悪くて怖いといわれますが、ただ単に目が細いだけで怖い人間ではないので安心してください!