改めまして、副主将・女子主将を拝命いたしました、跳躍ブロック3年の村田蒼空です。
このような大役を任せていただいたことに、身の引き締まる思いと、覚悟を新たにしています。これまで多くの先輩方が築いてこられた伝統と想いを受け継ぎながら、競技面はもちろん、部員全員が仲間を思いやる姿勢を大切にし、強く、そして誇れるチームであり続けられるよう、この1年全力で向き合っていきます。
2年ぶりに執筆の機会をいただきましたので、最高学年、そして副主将として迎えるラストシーズンへの想いを綴り、所信表明といたします。

「私たちが4年生になったとき、全員がそれぞれ頂点に立とう。この代で総合優勝しよう。」
1年目の日本インカレ閉会式後に何気なく同期と交わした言葉です。入学したばかりのあの頃、私たちはまだその言葉の重みや難しさを十分に理解できていなかったと思います。それでも、「本気で目指したい」「この仲間とならできるかもしれない」という純粋で真っ直ぐな想いと、胸が高鳴るような感情だけは、今でもはっきりと覚えています。あれから時間はあっという間に過ぎ、気づけば私たちの代が、チームを率いる立場になりました。


この3年間の私は、足掻き続ける日々でした。記録に縛られ、思うような跳躍ができない時期が続き、競技を楽しむことができなくなりました。そんなとき、日々の競技場で折れずに鍛錬し、挑み続ける同期の姿が、私を奮い立たせてくれました。過去の記録や過去の自分と比べるのではなく、今の自分と向き合うことの大切さを、仲間の背中から教えられました。
皆さんは、今、陸上を心から楽しめていますか。結局、最後に強くなるのは「楽しめた者」だと私は思います。大学に入ってから思うように記録が伸びず、もがいている人もいると思います。入学前に思い描いていた自分と現実の自分とのギャップに、劣等感を覚える瞬間もあると思います。筑波大学に憧れ、桐の葉のユニフォームに袖を通すことを夢見てこの場所を選んだ。それなのに、いつの間にかその誇りが、自分を縛る足かせになってしまっている。そんな感覚を抱えている人は、決して少なくないはずです。
でも、忘れないでほしいです。私たちはもともと、陸上が好きで、陸上をやりたくて、ここに立っています。結果を出さなければならないという重圧や、評価されなければ意味がないという思い込み。その前に向き合うべきなのは、競技そのものを楽しむ気持ちです。「楽しい」と思えるからこそ、人は挑戦し、考え続け、高みを目指すことができます。それは、前に進み続けるための、いちばん強い原動力だと思います。

ただ、全員が同じ熱量、同じ目標を持つことは現実的には困難です。競技レベルも、陸上にかけられる時間も、人生の中での優先順位も、人それぞれであって当然です。だからこそ大切なのは、一人ひとりが「自分なりの目標」を持ち、その目標に向かって努力することだと思います。
主将の立場から、「何を目指すのか」というチームとしてのビジョンが示されます。しかし、そのビジョンに到達するための手段は一つではありません。もちろん、副主将として、インカレ優勝という目標に向けて、チームとして何をすべきかを全力で考え、その手段も提示していくつもりです。それでも、それが「やらされるもの」になってしまえば、チームとしての強さは失われてしまいます。
チームが一体となり、同じ目標を見ようとするためには、トップが強制するのではなく、一人ひとりが「自分には何ができるのか」を主体的に考えられるチームであるべきだと考えます。
一人一人がこの競技部に所属する中で何を成し遂げたいのか、今の自分に何ができるのかを考え続け、自分自身について理解できれば、自ずと行動が変わり、チームとして良い方向に向いていくはずです。
全員が同じである必要はありません。しかし、全員がそれぞれの立場で、自分の行動に誠実であり続けること、その積み重ねが、チームとしての大きな力になるのだと思います。

筑波を背負って臨むラストシーズン。あの日交わした約束を、ただの思い出にはしたくありません。この3年間、私を前に向かせてくれた仲間、指導者の方々、そしてどんなときも応援してくれる家族への感謝を胸に、副主将として、一選手として、最後の最後まで挑み続けます。
全員がそれぞれの目標に向かって努力を積み重ねた先に、悲願の総合優勝が待っていると信じて─
一緒に、最高の景色を見に行きましょう。


筑波大学陸上競技部副主将 村田蒼空