今回執筆の機会をいただきました博士前期課程2年の荒岡です。
本題に入る前に軽く自己紹介をさせていただきます。私の専門種目は十種競技であり2日間走って跳んで投げる過酷な種目を6年間続けてきました。とはいえ、十種競技だけをこれまで専門としてきたわけではなく、小学生の頃は野球・水泳を軸に時には体操・卓球等にも取り組んでいました。
そんな幼い頃からスポーツが大好きだった私にとって十種競技という“King of athlete”を目指せるスポーツを選択したことは必然だったのかもしれません。私事ですが半年前に十種競技選手としての活動に終止符を打ちました。そこで今回は半年前まで陸上競技に注いでいた情熱を思い起こしながら執筆させていただきます。拙い文章ですが、最後まで読んでいただけますと幸いです。
(真ん中:荒岡)
本題に入りますが、スティーブ・ジョブス氏のスタンフォード大学でのスピーチを皆さんは聞いたことがあるでしょうか?とても有名なスピーチなので聞いたことがある方も多数いらっしゃるかと思います。私はこの話の中で「Connecting the dot(点と点をつなげる)」の内容がとても印象に残っており、この話を私なりに整理すると「未来を描くことは難しいが、これまでの経験(点)1つ1つを繋ぎ豊かな現在を築くことはできる」ことだと考えています。
実際にスティーブ・ジョブス氏はカリグラフィー(文字を美しく見せる技法)に魅せられ、勉学に励んだ後に全く予期しなかった形でカリグラフィーを用いてマッキントッシュとその他の PCとの差別化に成功しました。この成功は偶然生じたものなのでしょうか。少なくとも彼がカリグラフィーに対して情熱を注ぎ全力で勉強をせずに、なんとなく勉強をしていれば今回のような事例は生じ得なかったでしょう。
少し飛躍しますが、これが陸上競技に情熱を注ぎやり遂げた先にある1つの答えだと私は考えています。
何を行うにしても、年齢を重ねると純粋な興味や楽しさだけでなく、打算的な行う理由を常々自問自答することや人から尋ねられることが増えてきます。
私は世界選手権やオリンピックで活躍する選手になれる確信を持って陸上競技を始めました。けれど年齢を重ねるにつれて自分自身の伸び代に気付かされ、どこかのタイミングで私が世界選手権やオリンピックで活躍することが不可能に近いことを悟りました。その時点で私にとっての打算的な陸上競技を続ける理由は失われた様に思います。それでも、陸上競技を行なうことが面白く辞めたくありませんでした。
そんな背景から、この話(Connecting the dot)を聞くまで私は自分なりの陸上競技を続ける理由を見つけることができず、こういった内容を聞かれるたびに自分自身の過去・現在・未来が直線的に描けていない自分が嫌いになりそうでした。私のような経験をされた方は少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな状況に陥ったときは、ぜひこの話を思い出していただければと思います。もちろん未来を予測し、打算的な行う理由を考えられれば理想的だと思いますが、悩むくらいなら純粋な興味や楽しさといった自分自身の感性に素直に従って情熱を注ぎ込んでみませんか。きっとその経験がどこかで皆さんの現在を豊かにする点となるはずです。
拙い文章に最後まで付き合っていただきありがとうございました。