今回執筆の機会をいただきました、学群3年の高橋大地と申します。
ご存じない方も多くいらっしゃると思うので、軽く自己紹介をさせていただきます。
私は体育専門学群に所属し、高校は愛知県の中京大中京で、高校時代から日本一を目指す環境で陸上競技に取り組んできました。また、陸上競技自体は小学校6年生の頃からやっており、かれこれ8-9年程度陸上競技をずっとやり続けていることになります。

早速本題に入りますが、今年は両インカレや日本選手権など主要な大会が終了し、競技へのモチベーション維持が難しい時期になってきたと思います。そんな中でも競技に主体的に取り組むために必要だと考える要素について、自分なりに整理しました。皆さんの陸上競技への取り組み方を深める一助になれば幸いです。
さて、皆さんは、陸上競技に取り組む「目的」を考えたことはありますか?
私は、陸上競技を行う目的を明確にすることが、持続的なモチベーション維持の鍵になると考えています。
そのためには、まず「目的」「目標」「手段」の違いを正確に理解することが重要です。
広辞苑によると、
目的:成し遂げようと目指す事柄。行為の目指すところ。意図している事柄
目標:目的を達成するために設けためあて
手段:目的を達成するための具体的なやり方
と定義されています。
この定義から読み取れるのは、目的があることで初めて、その達成のための目標や手段を設定できるということです。
さらに重要な点は、目標もまた、目的を達成するための手段の一つであるということです。
具体例として、世界で戦える選手を目指す場合を挙げてみます。
この場合、
目的は、「世界で戦える選手になって日本の陸上競技界を牽引する」
目標は、「世界選手権入賞、オリンピック出場」
手段は、「競技力向上のための練習、メンタルトレーニング、技術習得」 という例が考えられます。
この例において、世界選手権入賞やオリンピック出場は「目標」でありながら、同時に「世界に力を示して日本の陸上競技を牽引する」という目的達成のための「手段」でもあります。
そして、目的から手段への階層構造には上位である目的ほど抽象的、下位の手段ほど具体的で選択肢が多くなります。そして、目的は長期的に安定、手段は柔軟に変更可能であるという特徴があります。

言葉の定義の確認ができたので、筑波大学陸上競技部について考えてみましょう。
筑波大学陸上競技部は両インカレのアベック優勝という大きな目標を掲げています。この目標達成のために、これまで様々な小目標や手段を設定し、競技に取り組んで来られてきたと思われます。
しかし、両インカレ終了後の現在、目標が消失してしまっているのではないでしょうか。
そして、それがモチベーションの低下につながっているのではないかと考えます。
また、私の体験談として、目標と目的の混同についてお話させていただきます。
私自身の高校の陸上競技部では「日本一を目指す」という目標が掲げられていました。入学当初からこの目標を繰り返し聞かされる中で、私は「日本一になること」を陸上競技に取り組む目的と混同してしまいました経験があります。
この混同により、目標が達成できない状態や、その年のインターハイが終わってしまったとき、競技に取り組む理由そのものを見失いそうになった経験があります。
そこで、陸上競技に対する「なぜ?」を考えることを提案します。
両インカレ優勝を目指す姿勢は非常に素晴らしいものです。
しかし、さらに一歩踏み込んで、「なぜ陸上競技に取り組むのか?」「両インカレアベック優勝を目指す根本的な理由は何か?」「自分が掲げる目標を達成したい真の目的は何か?」といったことを考えてみてはいかがでしょう。
「なぜ」を深く思考することで、目標や手段がより明確になり、持続的なモチベーション維持につながるのではないかと考えます。
目的が明確であれば、一つの目標が達成されても、新たな目標設定が可能です。そして何より、競技に取り組む意義を見失うことなく、長期的な成長を続けられると考えています。
これまで一般論的に説明をしてきましたが、ここから私自身の考える目的について述べさせていただきます。
私が陸上競技に取り組む目的は、「関わってくれた人、支えてくださった方々に喜んでもらうため」です。
この言葉は、高校の卒部式の時に監督の北村肇先生から教えていただいたもので、高校時代はずっと日本一になることばかりを考えていた私にとって、まさにクリティカルに刺さるものでした。

(高校時代の高橋)
大学1年の頃からもその目的を考えて競技に取り組んでいましたが、最近始めた就職活動を通じて、陸上競技に対する目的や理由がより明確になり、この場で執筆するに至りました。
具体的には、支えてくれて、応援してくださっている父や母や祖母、そして、練習を共に行ってきており、自分が怪我したときにサポートしてくれたチームメイトなど、多くの人に記録や結果で喜んでもらうことを目的として陸上競技に取り組んでいます。
この目的があるから目標や手段を主体的に考えることができ、努力することができています。
大学で陸上競技を行うことができる期間は2年を切りましたが、この目的を達成し続ける為に、記録や結果というものを求めて多くの人に喜んでもらえるよう、これからも努力を続けていきます。
以上になります。最後まで読んでくださりありがとうございました。この文章を読んで、競技に対する取り組み方を深める一条になれば幸いです。