『信』
こんにちは。
今回のコラムを担当させていただきます、短距離障害ブロック3年の檀上明日香です。今回このような執筆の依頼をいただき、大変光栄に思います。拙い文章であり恐縮ですが、お付き合いいただけると幸いです。
私は現在の競技に至るまで、他の人と異なった競技の歩み方をしているので、自己紹介も兼ねつつ、少しずつその歩みをお話ししたいと思います。今でこそ私は100mを専門種目としていますが、中学生の時から短距離ブロックで活動しているわけではありませんでした。むしろ中学2年生までは駅伝部に所属しており、1回の練習で20kmという長い距離を走っていました。
中学2年生で引っ越した時からは、勉学に専念したいという思いもあり、部活動には所属していませんでした。その後高校に進学し、高校2年生から本格的に100mを始めました。なので、中学生当時の自分には、筑波大学の短距離ブロックで活動しているなんて想像もつきませんでした。
話は変わりますが本来ならば、今日は関東インカレの2日目を迎えているはずでした。しかし新型コロナウイルスの影響により、試合はいつ始まるか分からず、大学の競技場も使用できない中、不安に感じる人がほとんどです。当たり前だったことが当たり前でなくなっている今、私がお伝えしたいことは、「信じる」ということです。
高校2年生の修学旅行で朝練を行っていたときに友達とぶつかってしまい、眼窩底骨折を負いました。全治3か月と診断され、骨盤から眼窩への移植手術を行いました。
鍛錬期に走れない日々が続き、毎朝目を覚ます度に夢じゃないかと思っていたほどです。やがて、食事を摂る意味さえ分からなくなりました。このまま復帰できるかも分からず、今まで頑張ってきたのは何だったのかと、とても否定的な気持ちに陥りました。5月にはインターハイの地区予選も控えていたので、私も含め誰もがインターハイ出場を諦めていたと思います。
その時、高校の顧問の先生が見舞いに来てくださり、「信」という言葉と以前先生が山形県で拾った松ぼっくりをいただきました。また「自分を信じろ。そしてその松ぼっくりをインターハイにもっていこう。」と言葉をかけていただきました。
そこで目が覚め、担当医や顧問の先生、そして己を信じて、ベッドの上でできる補強を行ったりするなど、できる限りのことを尽力しました。結果的には地区インターハイまでに復帰することができ、32年ぶりの大会新記録を樹立することができました。ここで私は、信じ続けて弛まぬ努力をすることはとても大切なことだと実感しました。
(高校3年のインターハイ、2017年は山形県開催)
私はたとえ目指していたものが希望しない形になったとしても、その先の自分の未来を信じると、より善い道に導かれると思います。当時インターハイがあった私たちが何を言っても綺麗事に聞こえて心に響かないかもしれません。しかし私はこの苦境の先に、必ず道はつながると思います。そしてこの先の人生に、希望があると信じています。
最後まで読み進めていただき、ありがとうございました。インターハイは中止になったけれど、今まで打ち込んできた選手たちが何か別の形でも、活躍できる場が出来ることを願っています。今、このかけがえのない時を生きる人たちにとって、実りある年になりますように。
〇今日のコラム〇
檀上明日香(だんじょうあすか)
体育専門学群 3年
大阪府出身
大阪府立生野高校
短距離障害ブロック・100m
広報委員会