【十人桐色2024】#6「青き桐の葉に恋焦がれて」熊崎風我

「青桐を背負いし彼らの目に映るその景色は、一体どんなものなのだろう。」

幾度となく思った。インカレや日本選手権で、選手たちを送り出し、その背中を眺めながら。

そして、「どうしてもその景色を自分で見たい」そう強く願い続けてきた。

 


 

短距離障害ブロック4年 熊崎風我と申します。

この度、明日から長野県長野市にておこなわれます第73回関東甲信越大学体育大会の主将を務めさせていただくこととなり、執筆の機会をいただきました。
最後までお付き合いいただけますと幸いです。

 

 

 

筑波大学陸上競技部には、マネージャーやトレーナーといった学生スタッフは在籍していない。

それはつまり、「所属する部員全員が選手である」ということを意味する。

しかしながら、チームの運営にはマネジメント活動、広報活動、トレーナー活動などさまざまな業務が必要である。

選手であり、〇◯である。私の場合は、選手でありトレーナー。

マネージャー専業、トレーナー専業の学生がいたほうがもしかしたら楽なのかもしれない。他の多くのチームはそうしているのだから。

それでも、我々筑波大学陸上競技部はこのスタイルでチームを作ってきたのだ。

約280人という大所帯が、競技はもちろんのこととして、様々な場面でそれぞれの一人一役を全うするとき、その時こそが、このチームが全日本インカレ男女総合アベック優勝を達成するときだと思う。

 

これまで対校戦の数々をトレーナーとして過ごし、招集所へと吸い込まれていく選手の背中を見送るたびにどれほど悔しい思いをしてきただろう。どれほど彼らが見るその景色を想像したことだろう。

笑顔で送り出したくても、どうしても心がチクチクする。

当たり前だ。自分も選手として出たいのだから。

それでも、それが叶わないのなら、自分は自分の役割を全うする。

どれだけ悔しかろうと、自分の居場所でチームのために戦う。

そうして、このチームでの日々を過ごしてきた。

そして、昨年の関甲信。

ついに自分にも青桐を着るチャンスがやってきた。

ずっと焦がれてきた景色をこの目で見ることができた。

4×100mR決勝。前の3人が先頭で持ってきてくれたバトンをそのまま1着でゴールまで届けたあの景色。

陸上人生で初めての表彰台の一番高い場所だった。そこから見た、祝福してくれるみんなの姿を私は一生忘れない。

 

さぁ、時は来た。

今度は主将として。私は青桐とともに、焦がれ続けてきた景色をこの目で見に行く。

 

熊崎風我(くまざき ふうが

体育専門学群 4年

東京都/都立東大和南高校

短距離障害ブロック/100m, 200m

トレーナー委員会

2024関甲信チーム主将