今年度、投擲ブロック長を担当する山口翔輝夜(やまぐち ときや)です。
私が行っている競技は円盤投とハンマー投です。
(よく「どちらが専門種目ですか?」と聞かれますが質問は受け付けません。両方LOVE・どちらも本気です)
このブログでは、私がこれまで経験してきたことと合わせて、山口が陸上にかける想いを綴っていきます。また、今後このような機会があるかもわからないので、文章はとても長くなりましたが、私の考えを書けるだけ書きました。どうぞよろしくお願いいたします。
私の競技者としての目標はオリンピック・世界選手権出場です。
もちろんこの目標は簡単なものでもなく、誰にでもできることではないとても難しいチャレンジでありながら、誰しも一度は考える事であると思います。まして日本の円盤投とハンマー投のレベルは、東京世界陸上では湯上さん(円盤投)と福田さん(ハンマー投)のお二人が出場されましたが、世界のレベルとはまだまだ差があるものです。そんな目標を完遂するために、体を削ってでも、寿命が短くなろうとも、家にいる時間より競技場にいる時間の方が長くなろうとも、日々トレーニングをしています。そのため私の日常生活の最優先事項は陸上競技であり、それ以外は陸上競技の2の次、3の次、あるいはベンチ外な思考となっています。
これだけではただの「陸上ばか」「視野の狭い世間知らず」かもしれませんが現在のスタンスに至るまでには山口なりの背景があります。
まず、私の競技生活は実は陸上が最初ではなく、水泳が最初です。水泳ではジュニアオリンピックで1回だけ3位になったぐらいですが、なんせ12年間(3歳から15歳)もしていたので水泳で学び得たものは多く、現在のスタンスの核を半分は占めています。水泳生活を通して学び得たことを箇条書きすると、
・速い選手≠強い選手 強い選手=どんな状況でも勝つ選手
・しんどい時にネガティブな発言をするのは凡人。しんどい時こそ自分が成長できるタイミング
・先頭に立って己の行動ができる人は強くなる
この3つです。
順に詳しく説明すると、
・「速い選手≠強い選手 強い選手=どんな状況でも勝つ選手」は、水泳で例えると50mを20秒00で泳げるが試合で勝てない選手になるな。20秒20でも試合では勝つ選手になれということです。記録がよくても試合で勝てない人は強くはない。競技をすると言うことは試合で勝つことでその意味を成し、真に強い選手はどんな状況でも自分の最高のパフォーマンスを行える選手だと私は考えています。↪(2025世界選手権 円盤投のチャンピオン ダニエル・スタールの試合中の行動・パフォーマンスを是非You Tubeで見てください。雨でコンディションが悪く、多くの選手が嫌な顔をしているなかで、ダニエル・スタールは嫌な顔などせず、むしろその状況を楽しんでいました。最終的には一人だけ70mを投げて優勝しました。リンクは70mを投げた動画ですhttps://www.youtube.com/watch?v=wZ9zUE9xfOU)
・「しんどい時にネガティブな発言をするのは凡人。しんどい時こそ自分が成長できるタイミング」は、水泳の兵庫県の強化合宿中にアホみたいにきついメニューがありました。そのメニューをする際に、コーチに言われたことは、「ネガティブな発言をメニュー中にしたらメニューを追加する。嫌がりながらしてもトレーニング効果が低くなる可能性が高い+周りの雰囲気を悪くするだけだ。自分のためにやるのだから、自分で自分を鼓舞し、やり切れ。」です。一見、根性論かもしれませんが、なぜそのトレーニングをするのか理解できていればネガティブな発言は出ないだろうし、苦しい状況で自分を奮い立たせられない人が、試合の勝負がかかる大一番で全力を出し切れるとはなかなか思えないですよね。あくまで、私の考えです。
また、これはきついトレーニングの時だけでなく、逆境においても同様です。怪我をした、記録が伸びない、様々心苦しい時はあると思います。その時になぜ怪我をしたのか、なぜ記録が伸びないのか、を考える必要があります。その多くの原因は自分自身にあるはずです。怪我をしたときでは体の使い方がわるいから、十分な筋力・柔軟性が備わっていなかったから、記録が伸びないときでは、練習・トレーニングの内容や量が適切でないからなどの、おおよその原因は特定できるはずです。つまり苦しい状況は今の自分に不足している要素を正確に教えてくれているのです。多くの人はその時点で足を止めたくなるかもしれませんが、そのことに気づいて行動変容を起こし、課題を克服できた人が成長し、強くなることができると考えます。私も高校3年生の時に右手の第二中手骨を折り、手術をしました。これまでの競技人生で一番大きな怪我でした。当時の私に不足していたものは安全管理であったと思います。なってしまったものは仕方がないので、右手以外の体の部位をフル活用し、トレーニングを行っていました。それ以降は大きな怪我もなく競技に打ち込めています。
・「先頭に立って己の行動ができる人は強くなる」は、水泳の練習は一つのレーンに何人もの選手(多いと5-8人)が入り泳ぎます。後ろの方で泳ぐ人は、前で泳いだ人の波があるので先頭の人に比べるとやや泳ぎやすいです。ほんの些細なことであるかもしれませんが、先頭で行動する人は、なにも波がなく抵抗が大きいところを歩くことになります。同じ内容をしていても後について行動している人よりも、負荷や負担が大きいですが、確実に自分の道を作ることができ、最終的な成果は大きくなりやすいということです。簡単にできることではないと思いますが、人の前で行動している人、あるいは人が追いたくなるような人、目標とされる人は、きっと自分の考えを持ち、様々な課題や障壁を自分の足で乗り越え、成果を残せている人であると思います。
この水泳で学んだ3つに加えて、中学の時から私の心にあるのは「想いを行動に」です。これは中学の陸上部の顧問の言葉ですが、競技において強くなりたい、勝ちたいという想いがあるなら、行動に移せということです。これは競技以外でも同様であると思います。何か資格を取りたい、留学をしたい、会社を立てたい、こんな仕事に就きたいなどなどあるならば、それが実現されるように頭や心の中だけで終わらすのではなく、行動に移す必要がるということです。
これらの学びのおかげで、怪我をしようと、しんどいトレーニングでも、「二種目いつまでやんねん、そんなもんできひんわ」と言われようとも、ただひたすらに勝つこと・強くなること目指し、そしてオリンピック・世界選手権出場に向けて日々行動することができています。
現在のスタンスの核の残り半分は高校以降の陸上を通して学び得たことです。
これも同様に箇条書きにすると
・つもりはあかん
・勝とはなにか
です。少し抽象的な内容ですが順に説明していきます。
・「つもりはあかん」は、高校2年の時と今年(2025年シーズン)で痛感しました。高校2年の時は、U18やインターハイでは優勝できるだろうと思っていました。そのつもりで実際に練習も行っていました。そして今年は、初めての日本選手権に出場し、入賞はできるだろうと思っていました。先ほど同様に、そのつもりで練習を行っていました。結果は高2の時も今年もそれぞれの試合では全く手も足も出ませんでした。では、当時の私が手を抜いて練習していたのかと言うと、そういうわけでもなく、結果を残すためにその時にできる最善の策を常にとっているつもりでした。誰かに勝つ、試合で勝つためには、主観的な評価ではなく、客観的で絶対的なトレーニングの量と質が必要です。「自分なりに頑張った」は、試合では通用しない過信でしかありません。そのため高校2年生の時は、3年で日本一になるために、自分なりのやった、がんばったではなく、日本一になるための絶対的なトレーニング量を行おうという考えで1年間トレーニングを行いました。そして今年はこれまで行っていたトレーニングは自分では日本選手権で入賞できる量と質であると思っていましたが、それは日本選手権では全く通用しないものであると認識させられました。それを期に、絶対的なトレーニング量、投げの本数を確保するために、授業・食事・睡眠など以外は競技場でトレーニングを行っています。
果たしてこの行動選択が正解なのかと問われると、まだ結果も出ていないのでわかりませんが、少なくとも私がこれまで出会ってきた、日本のTOP選手あるいは世界のTOP選手は絶対的なトレーニング量を行っていることは事実です。
・「勝とはなにか。」
次の言葉は高校の短距離顧問のものです。「勝つ(勝者)とは、日本一になった人。もっと言うと、オリンピック・世界選手権で優勝した人。それ以外はすべて負け(敗者)」です。大学生では全カレ優勝、国内では日本選手権優勝が勝つに値するものであると考えています。競技するにおいては、いたって当たり前の考えであると思いますが、この考えがあるおかげで私は常に高嶺を目指し行動し続けています。今年は全カレで3位でしたが、これも負けであり、来年全カレで2冠を達成するには昨シーズンよりも絶対的なトレーニングの量を行わなければいけないと考えています。あくまで私の考えですが、これを読んで私にはそんなことできない。などの否定的な考えをもってしまった人もいるかと思います。しかし、勝負というものは決して簡単なものではないはずです。誰よりもトレーニングを行い、誰よりも競技に対する考え・意欲・姿勢が前向きな人が最終的には一番の景色を見ることができると思っています。
そして、勝つことあるいは強くなることへの一番の近道は、「ただやる(Just do it)」だと私は考えています。
以上がざっくりとした私の陸上にかける想いです。私の考えを押し付けるつもりもありませんし、真似しろとも思いませんが、競技をし、強くなり、勝つためには間違った考えではないと思います。読んでくださった方々に少しでもプラスになる要素があれば幸いです。
最後に
なぜあなたは筑波大学陸上競技部で陸上競技をしていますか?
誰かにやれと言われたからですか?
きっと自分で決断をし、筑波大学陸上競技部で陸上競技をしていると思います。
私たちを取り巻く環境には陸上競技以外にも様々な物事があり、陸上競技以外に時間をかける理由も様々あると思います。
そのこと自体に口出しするつもりはありませんが、この環境を選択したのはあなた自身であると思います。筑波大学陸上競技部に入部し、陸上競技を行うと決めたのもあなた自身であると思います。
ときにはしんどくて苦しくて逃げたい、やりたくないと思ってしまうこともあると思います。しかし、あなたが今足を止めている間にもライバルや時間を刻々と前に進んでいます。そしてNoと言うのは簡単です。しかし言ってしまえばそれで終了です。自分で選んだ道は中途半端にすることなく、最後までやり遂げ、その選択が正解だった思えるようにしませんか。
投擲ブロック長 山口翔輝夜