0.はじめに
みなさんはじめまして。中長距離ブロック4年の福永皓斗(ふくながあきと)です。1500mを専門にしていました。

昨年大晦日に同ブロックの後輩であり広報委員の髙橋から、一緒に格闘技イベントであるRIZINの現地観戦をしているときに本ブログの執筆依頼をいただきました。後にも先にもさいたまスーパーアリーナで執筆依頼をされたのは僕が初めてだと思います。はじめてのRIZIN現地観戦は控えめに言って最高でした。髙橋は真面目そうな見た目とは裏腹にアツい趣味(Beatbox、楽曲制作etc)を数々もった、話せば話すほど面白いヤツなのでみなさん仲良くしてみましょう。

1.本稿について
さて本題に入ります。外部の方はもちろん、筑波大陸上競技部のなかでも僕のことを知らない人は多いと思います。大した実績を残したわけでもなく、他ブロックに顔が広いわけでもない自分が未来永劫残るかもしれないこのブログに何を書くべきか、相当悩みました。
そこで、今後このブログを誰がいちばん読むことになるか考えてみました。おそらく自分です。僕には自分の書いた文章を折に触れて読み返す癖があり、僕にとって中高生の頃に書いた文章は、時に自分の成長を実感するきっかけになったり、時に埋もれていた感情を掘り起こして鼓舞してくれる存在だったりします。このブログも、自分が4年間の大学生活を経て感じたことを残しておくことで、数年後に社会にもみくちゃにされた自分が読み返した時に、そっと背中を押したり、あるいは往復ビンタをかましたりするような文章であってほしいと思います。と、同時に、どこかの誰かの何かしらの参考になってくれたら嬉しいです。

2.陸上競技について
中学1年生から大学4年生まで10年間、1500mを専門に取り組みました。大学4年間に限って言えば、自己ベストは4分6秒から3分57秒まで伸びました。しかし、陸上人生の目標であった全国大会出場には遠く及びませんでした。ダメだったけど頑張ったよね、と美談にするつもりは毛頭なく、記録が4年間で9秒伸びた要因と9秒しか伸びなかった要因をしっかり残しておこうと思います。挙げ出すとキリがないので、ひとつに絞ります。
まず、4年間で記録が9秒伸びた要因は、数字へのこだわりが強かったことだと考えています。週間走行距離などの明確に数値化される指標に敏感で、目標の走行距離を達成するというモチベーションは常に高かったです。これが功を奏し、4年間を通じて練習量を大きな怪我なく漸増させていけたことが記録の向上に繋がったと思います。

一方で、記録が9秒しか伸びなかった要因は、数字へのこだわりを競技力向上のために昇華できなかったことです。数値目標の達成に躍起になる傍らで、ウエイトやドリルといった練習量が数字として捉えにくい練習は疎かにしてしまう傾向にありました。それが走動作の未熟さに繋がり、ひいては記録向上へのボトルネックになっていました。高校の部活など、強制力のある環境では自分で練習を選り好みする余地は無く、自分に必要な練習をバランス良く実施することができていました。しかし、大学特有の練習内容を比較的自由に選択できる環境において、数値目標に捉われ、本当に自分に必要な練習を質高く継続することができませんでした。そういった反省が色濃く残る競技生活でした。

3.一人暮らしについて
多くの筑波大生がそうであるように、僕も大学進学を機に地元の大阪を離れ、一人暮らしを始めました。やはり親元を離れていちばん実感しているのは、ありきたりですが両親への尊敬です。床ってこんなに早くホコリが溜まるんだ、皿って洗わないと洗われないんだ、そういった何気ないことから常に家を清潔に保ってくれていた母、仕事終わりでも家事を進んでこなしていた父への尊敬の念が絶えません。面と向かってはなかなか言えないですが。そして何より、アルバイトを通してお金を稼ぐことの大変さも実感しました。家族4人+猫3匹(猫の数はたまに増える。詳細は割愛。)の生活を維持しながら、大学卒業まで何ひとつ不自由なく過ごさせてもらったことを思い返して、それだけのお金を工面することの大変さを想像する力は大学4年間を通じて少しだけ備わりました。卒業後は働いて働いて働いて働いて、少しずつもらったものを返していけるようにしたいところです。

4.アルバイトについて
競技部のブログにバイトのことまで書くんかい、というツッコミは真摯に受け止めます。ただ、バイト抜きに僕の大学生活は語れません。大学1年の冬から3年間、つくば市研究学園にあるFLOW会計事務所というところで勤務させていただきました。バイトとしては珍しい職種ですが、ほんっとうにお世話になりました。体育専門学群に所属し、授業から部活までスポーツ一色に染まっていた自分にとってFLOWで働くことは新たな視点と選択肢を与えてくれるものでした。そして、クライアントに寄り添い、頼りにされている社員さんの姿は、筑波大学陸上競技部のコーチ陣の方々に重なるところがありました。知識と経験で他者を助くことの難しさ、尊さ、そしてかっこよさを、バイトと競技場で実感する大学生活でした。そして自分も、徐々に助けられる側から助ける側になっていきたいと思います。つくば市で起業する方はFLOW会計事務所まで。

5.冒険の終わり
僕がアニメ全話を4周するほど大好きなアニメ「葬送のフリーレン」に登場する勇者一行は、ラスボスである魔王を倒した10年に及ぶ後世に語り継がれる冒険を、「くだらなくてとても楽しい旅だった」と表現しています。これは魔王討伐という大目標がありながら、道中に道ゆく人の細々とした手伝いをしたり、「ぶどうを酸っぱくする魔法」や「かき氷出す魔法」といったくだらない魔法にみんなで興じたりした他愛もない時間を指しているものと思われます。僕の10年の陸上人生も、偉業こそ達成できませんでしたが、日々の練習が終わったあとの爽快感や、冬の寒空を走った後にこれでもかというほど甘いココア(お湯ではなく牛乳派。これだけは譲れない)を飲む背徳感、そして何よりも、1500mを自分史上いちばん速く走れた時のえもいわれぬ快感を追い求めた「くだらなくて楽しい旅」でした。一緒に旅を進めてくれた河原城中学校、生野高校、そして筑波大学の陸上部の皆さんには感謝しかありません。


しかし、10年の旅を終えたとはいえ、フリーレンのアニメの時間軸でいえば、今はまだ序盤も序盤です。リアルに第1話の冒頭です。これからまた新たに仲間をかき集め、新しいパーティで、新しい目的地に向かって歩き始めるところです。次の10年の旅路を、陸上に心血を注いだ10年よりも、もっとくだらなくて、もっと楽しい冒険にしようと思います。たくさんの魔法に出会えるでしょうし、厄介な魔物にも出くわすでしょう。きれいなお姉さんにも出会えるかもしれません。その道中で、魔王討伐とは言わずとも、何か人の役に立てたら最高ですね。

最後になりましたが、僕の大学生活に関わってくれた全てのみなさんに、ありがとうございました。4年とは思えないくらい濃密な時間を過ごしたつくばを離れることは寂しいですが、涙の別れなんて僕たちには似合いません。
だって、また会ったときに恥ずかしいからね。

